知らずに死ぬと後悔する!面白すぎる数学の本当の魅力とは?

学習塾を経営しながら京都大学に通うQOLHacksライターの林です。

数学は、本当に面白いです。今まで多くの数学者たちがその面白さの虜になり、人生のすべてを捧げてきました。数学者でなくても、数学に夢中になった数学好きの老若男女が無数にいます。

数学の面白さを知らずに死ぬのは、セックスを知らずに死ぬくらい残念なことだとさえ言われています。

ウォールストリート・ジャーナルの職業ランキングによると、良い職業第1位は数学者で、数学的技能を要する職業は軒並み上位にランクインしています。(統計学者は3位、保険数理士は4位、コンピューターシステムのアナリストは8位)。もはや、数学中心に世界が回っているといっても過言ではありません。

そんな数学の面白さを知らずに死ぬと絶対後悔します。あなたを後悔させないために、数学の面白さを少しでも知ってもらいたいと思います。

1.数学の面白さ

まずは、数学のどういう点が面白いのかについて、4つ説明したいと思います。

①解いてる時のアドレナリン

数学の問題を解いてるとき、特にすぐにどう解いていいかわからない問題を解いてるとき、解いているだけでワクワクする、夢中になれる。そんな体験ができるのが数学の面白さだと思います。

数学が苦手でも、今の実力より少し上の問題(自分にとって簡単すぎず、難しすぎない問題)に挑戦することで、同じように夢中になったりワクワクすることができます。

簡単な数学パズルや小学校で習う応用問題などでもいいと思います。

1問解けたら次も解きたいっていう気持ちになって、時間がたつのを忘れる。

勉強じゃなくてまるでゲームをやっているような感覚、何かに取り憑かれたような感覚になれます。

ランナーズハイ(マラソンなどで長時間走り続けると苦しさが消え、気分が高揚してくる作用)に似た感覚を味わうことができます。

②解けた時のアハ体験

これはまさに、数学の最も面白い部分であり、多くの数学者もこの面白さに夢中になっている部分といえます。

問題が解けた時、わからなかったことがわかった時、アハ体験ができます。
アハ体験というのは、「あっ!」とひらめいたこの瞬間のことを言います。

英語のAhaは日本語では、「あっ」と訳されますが、脳や心の声がAhaっと感じる経験こそがアハ体験です。

日本では脳科学者の茂木健一郎氏によってこの言葉が有名になりました。

出典 wikipedia

だれでもこのような経験は、数学以外でも感じたことはあると思います。

こういう体験は、気持ちいいし、やみつきになります。

あっと感じられるということは、脳を思いっきり使っていた証拠です。

アハ体験によって、頭の回転が早くなり集中力、記憶力もアップします。

達成感と充実感、わかる喜び、自分すごいんじゃないかって思えることは、脳科学的にもいいとされ、
幸せを感じることにも関係してきます。

数学をやっていれば毎日こんな感覚になれる、それも数学の面白さだと思います。

③芸術的美しさ

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「数は何故美しいのか。それはベートーベンの交響曲第9番がなぜ美しいのかと訊ねるようなものだ。君がその答を知らないのであれば、他の誰も答えることはできない。私は数が美しいということを知っている。もし数が美しくないのなら、美しいものなど何も無い。」

数学者ポール・エルデシュ

数学は美しいと多くの数学者が口をそろえて言っています。その美しさは、建築・美術・音楽の美に深くかかわると言われています。

ただ、美しさを実感するまでには、かなりの努力と時間を必要とするのかもしれません。4で紹介するフィボナッチ数列の魅力の動画で、美しさの一端を感じてもらえればと思います。

④論理的に考える楽しさ

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数学と民主主義は、どちらも古代ギリシャで誕生しました。数学は、宗教や権威に頼らず、万人に受け入れられた論理だけを使って、真実を見出す方法です。上から押し付けられた結論を受け入れるのではなく、一人ひとりが自分の頭で自由に考え判断する。このような姿勢は、民主主義が健全に機能するためにも必要です。数学と民主主義が、ほぼ同時代に同じ場所で現れたのは、偶然ではないと思います。

数学の言葉で世界を見たら 大栗博司

100万人が間違ってると言ったって、論理的に正しいことが証明できればそれは正しい。論理は権威や多数派による間違った情報に待ったをかけ、自分の頭で考えることによって本当の真実を発見する強力な武器です。数学は、その武器を手に入れるための冒険なのです。

数学は、いったんわかってしまうと、論理の積み重ねだけなので、覚えないといけないことはほとんどない。中学や高校でうんざりするくらいたくさんの公式がでてきますが、そのほとんどは論理的に導き出すことができて、覚える必要がないって事に気づいたとき、数学って面白いなあって感じました。

また、理屈っぽい人、細部まで納得しないと気が済まない人にとって、ごまかしなく論理的に納得ができるという点も数学の魅力であり、面白さなのではないでしょうか。

 

2.フィールズ賞受賞者が語る数学の面白さ

次に、数学界の最高の栄誉、フィールズ賞を受賞した数学者たちが語る数学の面白さについて見ていきます。

フィールズ賞とは
ノーベル賞に数学賞が無いことから、1936年に設立された賞。4年に一度、40歳以下の数学者で顕著な業績を残した者から、世界で4名のみに授与される。このように受賞制限が厳しいことから、数学の世界において最も栄誉ある賞とされ、受賞者はみな例外無く数学史に名を残します。

日本のフィールズ賞受賞者の場合

日本人は、今までに3人がフィールズ賞を受賞していて、国別受賞者数では世界5位です。なかなか健闘していますね。

1990年 森 重文 (京大卒) 京都大学数理解析研究所 (受賞時)
1970年 広中 平祐 (京大卒) 米国ハーバード大学(受賞時)
1954年 小平 邦彦(東大卒) 米国プリンストン大学(受賞時)

日本人2人目の受賞者、広中平祐氏は、数学世界に現出する現象の背後にある原理や法則を見つけ出すことこそ数学における創造であると言い、創造について次のように述べました。

「創造のある人生こそ最高の人生である」。では、創造とは何か。創造に大切なことは何か。創造は何から生まれるのか。創造の喜びとは何か−。
それらは「恋愛の喜びとは何か」と問われるのと同じように、難解な問いである。だが、私は思うのだ。おそらく創造の喜びの一つは、自己の中に眠っていた、まったく気づかなかった才能や資源を掘り当てる喜び、つまり新たな自己を発見し、ひいては自分という人間をより深く理解する喜びではないか、と-。

「生きること学ぶこと」広中平祐著、集英社文庫

日本人三人目の受賞者、森重文氏は、数学者を引きつける数学の魅力対象に対する姿勢は、芸術にも通じる部分があり、発想の転換で問題が新たな展開を見せ、解決につながることがあるが、それは数学の大きな醍醐味の一つだと述べています。

出典 wikipedia

補助線を一本引くことで、これまで思いつかなかった解法が浮かぶ。見え方ががらりと変わって美を感じる。

大学ジャーナルvol.112

世界のフィールズ賞受賞者の場合

次に、世界のフィールズ賞受賞者を見ていきます。

まずは、マリアム・ミルザハニ氏(2014受賞)です。今まで、フィールズ賞受賞者といえば、男性ばかりでした。そんななか、世界初女性フィールズ賞受賞者が誕生しました。

出典 http://www.cnn.co.jp/world/35052368.html

What do you find most rewarding or productive?

The most rewarding part is the “Aha” moment, the excitement of discovery and enjoyment of understanding something new, the feeling of being on top of a hill, and having a clear view.

出典 http://www.claymath.org/library/annual_report/ar2008/08Interview.pdf

「もっともやりがいを感じるのは、「あっ」という瞬間、つまりひらめいたことへの興奮や、新しいことが分かったことの楽しさを感じる時、いわば、山のてっぺんにいて視界がクリアになったような感覚を味わった瞬間ですね。」

フィールズ賞受賞者も数学をやっているときに感じるアハ体験のようなものが、もっとも素晴らしい瞬間だと言っています。

次は、セドニック・ヴィラニ氏(2010年フィールズ賞受賞)です。TEDにも登壇して、世界中に数学の面白さを伝えています。

出典 wikipedia

TED登壇時にセドニック・ヴィラニ氏は、次のように語っています。

数学は、想像力すなわち我々が最も称賛する能力を使う心理の追求である。

何か月も思考を続け問題が解けた時の喜びと言ったらありません。それは性的快楽に例えることができ、違いはその感覚が何日も続くことである。見返りはあまりにも大きい。

数学の何がそれほど魅惑的なのか TED動画

もし、数学の面白さを一言で言えって言われたら、こう答えることに決めました。

「長期間続くオーガズム」

 

3.身近な面白い数学

数学って抽象的な学問ですが、世の中のあらゆる技術に応用されていたり、身近なところに数学はいっぱいあふれています。

まず、身近な面白い数学の一つである、世の中に出ている統計のうさん臭さについてみていきます。

確率や統計には常にうさん臭さが付きまとい、時にそれは、恣意的に人をだますために利用されます。

そういったうそを見破ることができるのも数学の面白さです。明らかな間違いの具体例を上げます。

  • 100%の人がインターネットを利用(WEBでのアンケート結果)
  • 自動車事故の多くは自宅周辺3キロで起きる。よって遠くへのドライブのほうが安全(多くの人は自宅周辺を走る。母集団が多いのだから事故が多いのも当然。)
  • 米西戦争時、米海軍の死亡率は1000人につき9人。一方、ニューヨークでは1000人につき16人だった。よって戦争のほうが安全。(屈強な若者の集団である海軍と、老人・病人を含むニューヨーク市民を比較しても無意味である。)

次に、数学の知識を必要としない大学入試の数学の問題を見ていきます。論理パズルで、数学の知識は必要ないので挑戦してみてください。

2004年 慶大総合政策学部 第1問(2)

3人の女神が口論している。最も美しい女神はただ一人であるとする。

アテナ 「最も美しいのはアフロディテではない。」
アフロディテ 「最も美しいのは、ヘラではない。」
ヘラ 「私が最も美しい。」
最も美しい女神だけが真実を述べている。それは、( )である。

解答

ヘラが最も美しい女神だと仮定すると、アテナは嘘をつくはず。でも、アテナの発言「最も美しいのはアフロディテではない。」は真実になるで真実を述べるのが2人になり矛盾します。よってヘラは最も美しい女神ではない。そうすると、アフロディテの発言 「最も美しいのは、ヘラではない。」は真実なので、最も美しい女神はアフロディテになります。

 

4.数学の面白さがわかる動画・本

数学の面白さがわかる動画や本を2つずつ紹介します。

おすすめ動画

今回おすすめする2つの動画はいずれもTEDの動画です。TEDは学術・エンターテイメント・デザインなどいろんな分野の人物がプレゼンテーションでその分野の魅力や知恵を10分ほどで伝えてくれて、とてもおすすめです。代表的な数学者が数学の面白さを語ってくれています。

アーサーベン・ジャミン フィボナッチ数列の魅力(TED)

たった6分のプレゼンですが、数学の美しさに触れることができます。フィボナッチ数列とは何か、また、その奥に隠された美しさを味わうことができます。フィボナッチ数列には、不思議な魅力がたくさん詰まっています。

セドリック・ヴィラニ 数学の何がそれほど魅惑的なのか(TED)

先ほど紹介した、フィールズ賞受賞者のセドリック・ヴィラニ氏が、数学の面白さを語っています。話はとても面白く、笑いもいっぱいとっています。数学の面白さを知るには一押しの動画です。

おすすめ本

次におすすめの本を2冊紹介します。

まずは、小学校の問題を頭を使いながら解く本です。

 

大人のほうがてこずる算数

小学校1年から6年までの算数の応用問題集。楽しみながら解くことで数学の面白さに触れるための問題集です。

小学校の時に習った、ちょっと考えなければ解けない問題が83問載っています。あきらめないで答えが見つかるまでくらいついてみてください!解けた時の感動を味わうことができます。

たとえ解けなくても、答えを見てなるほどって思えることで、アハ体験ができます。また、次の問題に挑戦する時の武器を手に入れることができます。

 

次は、数学のパズルを集めた本です。先ほどの慶応大学の入試問題が面白いと思えたなら、すごくおすすめです。

面白くて眠れなくなる数学パズル

数学パズルの問題がたくさん載っています。比較的簡単な問題もあるので、そういう問題から初めていけば、解いてる時のワクワク、解けたときの感動を味わうことができます。また論理的に考える力も楽しみながら身につけることができます。

 

まとめ

統計学やコンピュータシステムに役立てるため、または論理的思考を身につけるために数学を学ぶことはとてもいいことだと思います。

でも、数学は何かを得るのために勉強するだけでなく、数学そのものを楽しむことができます。

「旅そのものが報酬である。」かつて「スティーブ・ジョブズがこう言いました。

結果が目的なのではなく、旅(そのための過程)こそが報酬であるということです。

解いているときのワクワク、解けた時の感動、自分でものを考える楽しさ、これらすべてをを与えてくれる数学は、時間が経つのを忘れてしまうくらいとても面白いものです。

最高の知的暇つぶしとして、純粋に数学を楽しむ旅に出かけてみてください!

ABOUTこの記事をかいた人

脱サラ後、学習塾を経営しながら、京都大学に通う異色の社会人大学生。 趣味は読書と勉強と外出。 面白くて役に立つことを多くの人に伝えたい!

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