突然ですが、あなたは歯の治療の起源を知っていますか?
その始まりは私たちが想像するよりも遥か昔。近代化の波が押し寄せた明治時代でもなければ、武士が戦(いくさ)に明け暮れた戦国時代でもありません。
実は、2006年の4月に発表されたネイチャー(イギリスの科学雑誌)に掲載された論文によれば、今から9000年も前(新石器時代)から歯の治療は行われていたのです。(出典:nature)
治療が行われていたということは、9000年以上前から虫歯や歯周病があったということ。
多くの病気は医学の発展とともに存在自体がなくなったり、発症率が下がったりしていますが、お口の病気は未だに多くの人を悩ませています。
その証拠に日本では今日まで歯医者の数は年々増え続け、全国のコンビニの数を1万4000軒も上回っています。
「かかってしまった病気を治療するよりも、予防した方がお金も時間もかからない」ということは誰の目にも明らかです。
しかし、予防を実践するためのノウハウを歯医者が教えてくれる機会はなかなかありません。
そこでこの記事では、あなたが歯医者の治療を一生受けずに済むために、知っておくべき知識を「総論」という形でお伝えしたいと思います。
医科の病気と違い、お口の中の病気を予防するのはとても簡単で、誰にでも実践できるものです。
是非、この記事をきっかけに1本の歯の価値を知り、歯の治療で悩むことのない、質の高い人生を手に入れてもらえればと思います。
では早速いきましょう!
目次
これは知っておきたい!歯を失う、負のスパイラル
多くの人は知らず知らずのうちに「歯を失う習慣」が身についてしまっています。先ずはじめに、その根本的な部分に触れてみたいと思います。
「歯医者=治療をするところ」という洗脳
あなたにも経験があるかと思いますが、私たちは物心がついた頃から親や先生に「歯医者さんで痛い治療をされないように歯磨きしようね!」と教えられます。
実は、この頃に植え付けられてしまった、「歯医者=怖い・痛いことをされる場所」というイメージが、歯を失う流れを作り出してしまう元凶なのです。
「歯医者に行くと痛いことをされるんじゃないか?」という不安から、多くの人は特に痛みや違和感がなければ歯医者に通うことはありません。
もちろん、通えばいいということではありませんが、小さい頃に歯医者で”虫歯にならない知識・歯周病にならない知識”を教えてもらえないことは、その後のお口の環境に大きく影響してくるのです。
歯を失う、負のスパイラルの正体
虫歯や歯周病を予防するための正しい知識を身につけないまま、多くの人は大人の階段を登っていきます。
つまり、病気の原因がお口の中にたくさんある状態で生活をしているのです。原因があるということは、いずれ大なり小なりトラブルが起こります。
ところが、ここで先にお話した洗脳の影響が色濃く出てくるのです。
「歯医者が怖い」というイメージを持ち続けている人は、歯が痛かったり、違和感があっても恐怖心からなかなか歯医者を受診することができません。
病気が初期の状態で治療をすることができないので、少しずつ症状が進行していきます。
やがて痛みや違和感が我慢できなくなってから、渋々歯医者の予約を取ることになります。
しかし、勇気を出して受診したのはいいものの、病気が進行してからの治療では痛みや腫れといった炎症が強いので、治療自体も痛かったり、時間がかかったりと良いことがありません。
結果的に「歯医者はやっぱり怖いし、痛い」というイメージしか残らないことになります。
トラウマのように潜在意識にこびりついてしまうと、治療からしばらくして再びわずかな痛みや違和感が出た際にも、なかなか受診することができなくなります。
こうして少しずつ虫歯や歯周病にかかってしまう歯が増えていってしまうのです。
少し極端な例ですが、負のスパイラルが続いてしまうと、
このようなお口になる可能性も十分にあります。
あなたには、このような事態にならないために必要な知識・テクニックを是非、身につけてもらいたいと思っています。
負のスパイラルから抜け出すためには?
先ほどお話した負のスパイラルに陥(おちい)る流れは致し方ないようにも思えますが、一つだけ決定的に足りないことがあります。
それは、少しずつ歯を失っていく中で、「そもそも病気(虫歯・歯周病)にならないための知識を身につけるタイミングがない」ということです。
「いい歯医者に巡り合わなかったから」という理由ではありません。
「どう治療するか」、「どんな先生に診てもらうか」よりも、「どうすれば病気を予防できるのか」という視点に変えていくことが大切なのです。
「治療を受けないのが最高の治療」だと私は思います。
あなたが歯医者で治療を受けずに済むための知識を手に入れれば、これからの人生、歯で悩むことはなくなり、痛い治療を受けたり、高額な医療費も負担せずに済むわけです。
そのための教科書が今回の記事です。シンプルで大切なことしかお話しませんので、最後まで一緒に学んでもらえればと思います。
歯医者が言わない、衝撃の事実
意外かも知れませんが、私たち歯医者は「歯を治せない」のです。虫歯で失った歯の一部、歯周病で失った歯を支える骨は二度と戻ってきません。
骨折をすれば自分の骨でくっつく、風邪を引いたら1週間も寝ていれば免疫力で治る、擦り傷ができても自分の皮膚で傷口が覆われる、といった他の病気や怪我とは根本的に違うのがお口の中の病気です。
私たち歯医者が行う治療は、あくまで見た目や機能を元通りに近づけているだけに過ぎません。人工のプラスチックや金属があなたの歯の代わりにお口の中に入れられているだけなのです。
歯科治療=お口のサイボーグ化
結局、私たちの仕事はあなたのお口の中を人工物で補うリハビリです。サイボーグ化と言っても差し支えないと思います。
便宜上、治療が終われば「治りました」と表現しますが、本当の意味で治ってはいないのです。
そして、人工物がはめ込まれた歯は、他の健康な歯と比べて再びトラブルが起こる可能性が高くなります。なぜなら、私たちの治療は精度を極限まで高めても、歯との継ぎ目を”ゼロ”にはできないからです。
人工物と歯の間に継ぎ目があるということは、段差があるということ。肉眼ではほとんどわからないものであったとしても、細菌にとってはとても居心地の良い隙間になります。
つまり、治療を受けた歯であればあるほど、再び治療を受ける可能性が高いということです。歯は何度でも治療を受けられるようなイメージがありますが、実際はそうではありません。治療の度に削られ、化学物質で消毒される歯は、すり減って小さく、脆(もろ)くなり、その寿命を縮めているのです。
概ね5回も治療を受ければ、その歯は「抜歯」の結末をたどってしまうことになります(実際には5回も治療を受けれらないことが多い)。
歯医者が教える、歯の価値の高さ
歯は一度失ってしまうと、いくらお金を積んでも取り戻すことは出来ません。例えば、ダイヤモンドのように希少価値が高いものであっても頑張ってお金を貯めれば手に入れることが出来ます。
しかし、歯の場合は例え高額な費用を払ってインプラントを入れたとしても、決して元に戻らないのです。
乳歯は大人の歯に生え替わると永久歯と呼ばれます。サメのように新たな歯が次々に生え替わるものではなく、お口の中で死ぬまで使い続けることから“永久歯”と名前が付いているんです。
あなたの歯1本1本はお口の中に1つだけ。代わりのきかない唯一無二のものだということです。だからこそ、失ってしまわないように大切に使ってあげなくてはいけません。
お口の中に関しては、「病気になったら治してもらえばいい。」ではなく、「絶対に病気にならないようにしなければいけない。」という意識が大切なのです。
なぜなら、歯医者は歯を守ってくれないから。
あなたの歯を守ることが出来るのは、あなただけなのです。
歯医者の治療から解放されるための絶対条件
ここからは具体的にあなたが歯医者の治療から解放されるために必要なことをお話していきたいと思います。誰にでも出来ることしかお伝えしませんので、是非、集中して読んでもらえればと思います。
歯を守るために必要なことはたった2つ
実は、一生自分の歯で自分らしく生活するために必要なことはたった2つだけです。
それは、「虫歯にならない知識」と「歯周病にならない知識」。お口の中の病気と言うと、”歯がしみる”、”歯がグラグラする”、”歯茎から血が出る”など症状は様々ですが、その90%以上が虫歯・歯周病という2つの病気が原因で起こります。
つまり、2つの病気さえ予防することが出来れば、歯医者の治療から解放された生活がぐっと近づくことになります。
虫歯って何?
予防の知識を確認する前に、先ずは病気の簡単な知識をおさらいしておきましょう。「釈迦に説法」かもしれませんが、私とあなたの共通認識として確認させて下さい。
虫歯はあなたも経験があるかと思いますが、歯に穴が開く病気です。
歯や舌、頬の粘膜などにいるミュータンスレンサ球菌をはじめとした細菌は、甘いもの(ショ糖などの糖類)を食べて酸を出します。この酸が原因で歯が溶けてしまうのです。
虫歯が進行してしまった歯は、以下のようになってしまいます↓↓↓
歯周病って何?
歯周病も最近はCMやテレビ番組などで取り上げられる機会が増えましたので、あなたもご存知かも知れませんが、基本的な知識を確認しましょう。
この病気は歯の表面についたプラーク(細菌の塊)が、毒素を出すことで歯の周りの組織に炎症が起こるものです。具体的には歯茎が腫れて血が出たり、歯を支える骨が溶けて歯がグラグラするといった症状が出ます。
ただし、症状が出るのはある程度歯周病が進行してからです。本人が気づかないうちに病気が進んでいることも多く、歯が残せない状態になってから歯医者で発見される場合も多いのです。
歯を支える骨は一度溶けてしまうと取り返しがつきません。虫歯と異なり、プラプラになってしまった歯は残すことが出来なくなってしまうので、とても危険な病気なのです。
そして、歯周病は日本人の8割がかかっている病気でもあります(進行程度の差はありますが)。あなたに自覚症状がなくても、歯周病のリスクを減らしておくことが大切です。
歯周病にかかった状態をイラストでも確認してみましょう。
このように健康な組織が、歯周病の進行に伴って、
このような状態になります。
とても怖い病気ですが、その予防法はとてもシンプルなものです。
要点を押さえれば確実に予防できる病気でもあるので、これから具体的な知識を確認していきましょう。
お口の病気を予防するために最も大切なこと
あなたの歯を虫歯・歯周病から守るために最も大切なことは、セルフケアです。普段あなたが行なっている歯磨きをはじめとした習慣のことです。
ただ、習慣といっても面倒なことは一切ありません。他の病気にならないために気をつけるべきことと言うと、「毎日適度な運動をする」、「十分な睡眠時間を確保する」、「栄養のバランスが取れた食事を心がける」、「お酒を控える」、「定期的に医師のチェックを受ける」など、考えただけで腰が重くなるものが多いのですが、お口の病気を予防するのはかんたんなポイントを押さえるだけです。
多くの人は、”歯を守るために大切なこと”と言うと、「定期的に歯医者に通ってクリーニングしてもらう」などを思い浮かべますが、実はプロが行うケアにはそれほど病気を予防する効果はないのです。
なぜなら、お口の中はカラダの中で最も汚い場所だからです。具体的には肛門にいる10倍の数の細菌が常に存在しています。あなたもご存知かと思いますが、菌というものは栄養がある限り増殖し、その数を増やしていきます。お口の中は滅菌することが出来ないので、どれだけキレイにしたところで、必ず細菌は残って増殖してしまうのです。
つまり、定期的に歯医者でクリーニングをして細菌を減らしたところで、24時間もすれば歯の表面にはたくさんの細菌が付着してしまうのです。歯医者で毎日クリーニングしてもらうのも一つの案ですが、それではいくらお金と時間があっても足りません。
だからこそ、あなた自身が普段から自分のお口の中を、自分の手で管理しておく必要があるのです。
また、普段のセルフケアが出来てないとすれば、お口の中がキレイになるのは歯医者のクリーニングを受けた1日だけ。定期受診は一般的に3〜4ヶ月に1度なので、90〜120日に1日だけお口の環境が良くなることになります。
例えるなら、普段全くお風呂に入っていない人が、3ヶ月に1度エステに行っているようなものです。どれだけプロのケアが質の高いものでも、限界があることは容易に想像出来るかと思います。
結局、歯医者を頼ってもあなたの歯を守ることは出来ないのです。唯一無二の歯を守ることができるのは、他でもないあなた自身です。
次回の記事では、具体的なセルフケアのノウハウについて書かせて頂きました。
ここまで読んで頂いた中で、少しでも「自分の歯を大切にしないとな」という気持ちが芽生えたのであれば、是非、次の記事も読んで正しい知識を身につけて下さい。
この記事を書いた先生の情報
前岡 遼馬(まえおか りょうま)。北海道大学卒。生まれも育ちも愛知県一宮市の歯科医師。
歯周病治療をベースに、一本の歯を残すことにこだわった臨床を行っている。モットーは「治療を受けないのが最高の治療」。すべての患者さんに対し、「自分の歯を自分の手で守る大切さ」を伝えながら、歯ブラシを片手に日々奮闘している。
前岡歯科医院
所在地 | 愛知県一宮市向山南1-6-1 |
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電話番号 | 0586-72-3122 |
診療日 | 月・火・水・金・土 9:30〜12:30 14:00〜17:30 |
休診日 | 木・日・祝日 |
ホームページ | http://maeoka.info/ |
前岡先生の歯科情報サイト【デンタルハッカー】
URL | http://maeoka.net/ |
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今回はQOLHacksからの依頼を受け、歯医者があまり公(おおやけ)にしない衝撃的な事実を紹介したいと思います。